『 東高二十年の思い出から 』 その2 「楽しかった」修学旅行・断想 (中編) ( 創立三十周年記念誌 「 あこがれやまぬ こころいだいて 」 から転掲 )
しかし、第1期生も、その後の何期生の場合でも、生徒達は、「なんだ、田舎へ行くのか、山へ登るのか」と、行く前は大体、期待よりも不満の声が多かったように思う。そして行った後では、これまた殆ど例外なく、山のよさは天候に左右されることはあっても、HR単位の夜の行事、とくに研修と称する話しあいがよかった、という声は、非常に多かった。最初に出かけた1期生の私のクラスでも、何がそう興奮させたのかは忘れたが、生徒達が口角泡をとばして真剣に夜おそくまで議論している様子は、とても日常、学校でのロングホームの白け気味のムードからは、想像出来ないものであった。また細野のゴンドラの山麓駅横の、今は瀟洒な建物にかこまれて駐車場になっている広場(当時は辺りに全く人家無し)でのキャンプファイヤーでも、各班ごとに演(だ)したものを、夢中になって競いあっていたのを、懐かしく思い出す。1期生は、昼の天候には終始めぐまれなかったのだが、それでも行った後の感想は、とてもよかったという声が多かった。日常から離れた場所での、友達との交流の中に、何かしら新しい発見をしたせいではなかったかと思う。(つづく)
静岡東高旧職員 寺部昭夫 (文責:永野達弘)